サルコペニア予防のためのトレーニング(運動法)を紹介します。
筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)の世界では、「ビッグ・スリー(Big3)」を鍛えろ、と言う基本があります。この「ビッグ・スリー」とは、大胸筋、大腿四頭筋、広背筋を鍛えるトレーニングの事で、これらの筋肉はボリュームが多く、トレーニングの効果が出やすい筋肉として知られています。すなわち、効果的なサルコペニアの治療の対象になる、と言うことです。
さらに、このビッグ・スリーの中でも高齢者にとって重要な筋肉は、大腿四頭筋,すなわちふとももの筋肉です。下肢の筋力の低下はすぐに移動能力の低下、転倒・骨折を引き起こすため、生活への影響は甚大です。実際に僕の研究結果でも、骨粗鬆症性骨折患者では、上肢よりも下肢の筋量低下が著名でした(参考文献1,2)。
今回紹介するのは、大腿四頭筋を効果的に鍛える「スクワット」と、バランス力を鍛える「方足立ち」です。実はこれらのトレーニングはロコモーティブ・シンドローム(運動器の障害)の予防法(ロコトレ)と共通しています。日本整形外科学会の「ロコモパンフレット2013」から引用して紹介します。
注意!! 本頁で紹介した運動法は健康な方を対象としています。基礎疾患のある方は主治医にご相談・許可を得た上で行なって下さい。関節などに痛みがある方は、痛みのない範囲で行なって下さい。予防のための運動で怪我をしては元も子もありません。転倒に十分気をつけ、自信のない方は別の方に見守ってもらうなど、十分な安全を確保して行なって下さい。
参考文献
2. 飛田哲朗、他.【サルコペニア-筋研究の最前線-】骨折のリスクファクターとしてのサルコペニア." Bone Joint Nerve 2013 (1): 103-110.
3. 飛田哲朗, 他. "高齢者の転倒・骨折予防を目的とした、加齢性筋肉減少症(サルコペニア)の診断法の開発." 健康医科学2012:27(1): 128-137.