統計力検定って、どうやるの?

前向き研究の発表をすると、かならずツッコミが入る。

「sample size analysisはどうだったんだ?」「必要症例数は検討したんか?」

 

確かに最近のRCTを見ていると、必ずstatic powerや、サンプルサイズを検討している。

一般に、標本数が小さいほど検出力も小さい=第2種の過誤(β error)が生じやすいため、予めサンプルサイズを決める必要がある。

詳しいやり方を知りたくても、「疫学部が計算した」なんてハードル高い事が書いてあったりもする。統計素人の自分でもできる方法はないのか? 調べてみた。

 

 STATAというソフトや、SPSSのオプション(高価!)でできるみたいだが、今回はfreewareとSPSSを組み合わせて使用。少なくとも、2群間のChi二乗検定と、t検定であれば何とか自分でもできそう。

 

統計力検定とは以下の4つがお互いに関連している。

 

  有意水準(α、0.05)→サンプルサイズ(N)

    ↑                     ↓

    ↑                     ↓

    ↑                     ↓

  検定力(1-β、0.8-0.95)←効果量(ファイ、Carmaer V, effect size)

 

すなわち、3つの要素が決定できれば、残る1つの値を算出できる。

 

1.サンプルサイズ 今回求めたい、必要症例数。


2.有意水準 とりあえず0.05。これは、目的とするp値の事。ほとんどの臨床研究では0.05。整形外科医が行うような研究はほぼ全て0.05。

 

3.検定力(power) powerとは何%の確率で狙った有意差が出せるか、とういうことかな。すなわち、「検定力0.95で必要症例数検討した」とあれば、その症例数があれば、95%の確率で有意差がでる、とういうことかな。

 

4.効果量(effect size) ちょっとややこしい。Chi二乗と、t検定でやり方が違う。

・カイ二乗検定の効果量

SPSSで計算できる。

・t検定の効果量

’d’という値を用いる。これには、標準偏差(SD)の値が必要。ちゃんとパイロットスタディーをやって計算している論文もあるだろうけど。これまでの研究結果や、臨床経験から勝手に推計して仮定した値から算出しているRCTの論文もあります。

 

4.の効果量さえ出せば、あとは、有意水準、power入力するだけで、とりあえずは必要症例数が出せます。  

 

 

 

  ポイント:症例数算出の方法は、統計学でも未だにcontorvertialな分野です。矛盾がなければOK。reviwerに指摘されても、強気に説得しましょう! 

 

 

 

 

自己紹介

飛田 哲朗 Tetsuro Hida

名古屋で脊椎外科医の仕事の傍ら、サルコペニアの研究をしています。

2017年-2018年 アメリカのサンディエゴに、家族連れで臨床留学しました。 

 

好きなテレビ:

未来世紀ジパング

 

池上彰さんが出る回とか、最高ですね。テレ東経済番組の面白さは安定してます。

 

好きな映画:

アメリカのSF映画。遺伝子エリートと雑草魂の葛藤がたまりません。同じアンドリュー・ニコル監督の「In Time(タイム)」もいいですね。

 

息子の難病の治療法開発を試みる銀行家の父の、実話を元にした物語。熱意と戦略がそろえば誰でも治療法開発に携われる可能性があるんですね。

Follow-up of 89 asymptomatic patients with adrenoleukodystrophy treated with Lorenzo's oil

論文のラストオーサーが父親。

 

 

NYのイタリアンレストランのある一夜が舞台。料理漫画の傑作「バンビ〜ノ!」全巻がこの1本に詰め込まれたような中身の濃さ、事件だらけです。イタリア料理好きにはたまらない数々の料理、ガーリックオイルが恋しくなります。

 

好きな飲み物:


最近はアメリカのマイクロブリュワリーと呼ばれる小規模ビール工房の地ビールにはまっています。

 

サンディエゴにあるBallast Point という醸造所のSculpin (Indian Pale Ale)というとても味が濃くてフルーティな種類のビールがお気に入りです。

 

 

 

リンク

朝日新聞、 「筋肉少なく肥満、高齢者の1割 名大、北海道の323人分析」(平成26年6月3日夕刊)

八雲町での疫学調査を取り上げていただきました。

名古屋テレビ UP! 注目ニュース「サルコペニア肥満」

2013年8月2日に放送された内容です。僕の研究を取り上げていただきました。とてもわかりやすくまとまっています。

 

リハビリテーション栄養・サルコペニア(筋減弱症)

サルコペニアのエビデンスが集積しています。勉強になります。

 

整形外科 論文ナナメ読み (JBJSなどなど)

JBJSの要約がまめに更新されています。抄読会のネタ探しにぴったりです。

整形外科医のための英語ペラペラ道場

英語論文を書く際の道しるべです。

整形外科医のブログ

整形外科臨床にとどまらず経済学にも詳しい記事が参考になります。