2012-01-30
MASTR遺伝子、「マスター」と発音するのでしょうか。へい、マスター! なんかかっこいいですね。この遺伝子の筋再生における役割を調べた論文を引用します。
Wikigeneや HGNCによると、この遺伝子のapproved name は、MAMSTRとのこと。(MAMSTR MEF2 activating motif and SAP domain containing transcriptional regulator 19q13.33 Synonyms: MASTR)
最近の筋肉業界では、SRF-MRSTR系が注目されています。
筋発生過程だけではなく成熟した哺乳動物の筋肥大においてもRhoA-SRF(Serum response factor)経路は重要な役割をする。...SRFは、MRTF-A(myocardin-related transcription factor A)やMRTF-Bと複合体を形成し、転写促進に働くことが最近わかってきた...、加齢にともない骨格筋中のSRFおよびMRTF-A &-Bの発現が減少し、これらの物質を調節するRhoAやその阻害物質RhoGDIは有意に増加する。参照元リンク
MASTR directs MyoD-dependent satellite cell differentiation during
Mayssa H. Mokalled, Aaron N. Johnson, Esther E. Creemers, et al.
Genes Dev. 2012 26: 190-202 Impact Factor (2010): 13.892
要約
骨格筋損傷に反応して、筋原性の幹細胞として働く衛星細胞が活性化し、分化の間にexpand(拡大)し、最終的にお互い結合し、損傷を受けた筋繊維に結合し、筋の再生を促進する。
今回、我々はMyocardin Family の転写活性化補助因子であるMASTRとMRTF-Aが筋損傷と筋ジストロフィーで亢進していることを示す。
広範な、もしくは衛星細胞特異的にMASTRをノックダウンさせたマウスでは、筋の再生が阻害された。
この筋再生は、実質的にMRTF-Aも同時にノックダウンさせたときにより阻害され、またこの筋再生の阻害は、分化の異常と、衛星細胞の異常増殖による。
これらの異常な筋再生は、筋再生の重要な調整因子であるMyoDをノックダウンしたときと似ている。そしてMASTRとMRTF-Aをノックダウンすると、MyoDが阻害される。MASTRの本質的な働きであるMYODの発現の調整因子として矛盾しない。MASTRは筋肉特異的な出生後のMYODを、MEF2やMyocardin familyと連携しあって活性化させる。
我々の結果は筋再生における遺伝子の回路の新たなる知見と、MASTRがこのプロセスの中心的役割を果たしていることを示した。