小児・児童の腰椎分離症まとめ
・ 患者の腰椎骨年齢は?
・ すべり合併の可能性は?
・ 分離症の病期は?
・ 骨癒合の可能性は?
の以上に注目して治療していく
①
・ cartilaginous期(C stage)小学生くらい
軟骨終盤ですべり起きやすい。
・ apophyseal(A stage), epiphyseal(Estage) 中高生くらい すべり起きにくい 。
②CT、MRIによる時期
骨癒合率
CT分類・初期→62%、進行期→8.7%、終末期→ほぼ無理
MRI分類 T2highがあれば進行期でも60%が骨癒合した、
しかし進行期で高輝度なしは0%
③片側分離
正常の方にはストレス10倍かかる。
末期の分離は骨癒合期待できず、疼痛のある場合は1〜2週のスポーツ中止の後コルセット・体幹筋トレーニングを用いて腰痛の消失をしてから復帰。スポーツの際は軟性の伸展防止コルセットを用いる。
・ 男8% 女4% にあり。
・ 小学〜高校の2週以上続く腰痛患者の半分が分離であった。→子供の腰痛は分離メイン。
・ 初期なら94%が3ヶ月でつく、進行期は60%で半年骨癒合にかかる。
・ 偽関節の痛みの原因は分離の尾側のfacetに水腫がたまる。半年で水腫は消える。
・ 分離はすべる時は学童期と50歳前後の二峰性。
・ 子供は成長軟骨ですべる(Salter –Hallisの要領)、大人は椎間板の変性ですべる。
・ 分離症の有無で腰痛の頻度は無いひとと変わらない。
・ 稀に偽関節の滑膜炎で腰痛が続くことあり。→分離ブロックで診断し分離部固定とすることもあり。
2016-02-02 本稿は同僚医師KI氏から頂いた資料をもとにしています。感謝です。
日本人の有病率 約6%
そのうち有症性 約40%
スポーツ選手の有病率 10-30%
プロ選手の有病率(南海ホークス、ガンバ大阪)約40%
腰をそらしてひねる運動による疲労骨折。遺伝的素因もあり。
家族内発生高い。
人種差あり。Northaern Inuit 52% Simper, Acta Orthop Scandi. 1986
90%はL5発生。L5 Parsは血流供給が悪い(第4腰動脈と腸骨回旋枝のwater shed)
初期、進行期に下肢症状がある場合も。出血、炎症によるL5症状。
参考文献 Sakai, J Orthop Sci. 2010
2018-07-07 徳島大学 酒井紀典先生の講演内容をもとに追記
小児の腰椎分離症の保存治療
小児の分離症の保存治療の治療成績のまとまった報告です。
CT,MRIで診断し、進行度分類をします。
超早期 MRIの所見のみ。CTでは骨折なし。
初期 わずかな骨折線 hairline fracture
進行期 明らかな骨折、隙間
終末期 偽関節
保存治療の方法
・硬性コルセット
・スポーツ中止
保存治療の期間
・臨床症状(圧痛、体動時痛)があるうちはコルセット継続、スポーツ中止。
・CTで骨癒合を定期的にチェック。
・画像で骨癒合が得られ、なおかつ臨床症状がなくなれば硬性コルセット終了、スポーツ再開。
結果 癒合率、治療期間
超早期(MRI所見のみ)100%、2.5ヶ月(1−7ヶ月)
初期(わずかな骨折線)93.8%、2.6ヶ月(1−6ヶ月)
進行期(明らかな骨折)80%、3.6ヶ月(3−5ヶ月)
終末期(偽関節)0%
参考文献
Spine (Phila Pa 1976)
. 2017 Jun 15;42(12):E716-E720. doi: 10.1097/BRS.0000000000001931.
Conservative Treatment for Bony Healing in Pediatric Lumbar Spondylolysis
Toshinori Sakai 1, Fumitake Tezuka, Kazuta Yamashita, Yoichiro Takata, Kosaku Higashino, Akihiro Nagamachi, Koichi Sairyo
2021-07-14追記