最近よくみる鍵のマーク。オープンアクセス・ジャーナル(open access journal, OAJ)とは、インターネットさえあれば誰にでもアクセスできる論文雑誌のことです。PubMedでも続々とオープンアクセス論文が公表されていて、無視できない存在になっています。ただ、なんとなく胡散臭い気もしていて、一度オープンアクセスとは何か、調べてみました。
オープンアクセス・ジャーナルとは。
もともとは「開かれた社会」の実現を目的として、2002年にBudapest Open Access Initiativeで提言されました。
そして、2003年、初のオープンアクセス・ジャーナルとして。米国公共科学図書館(PLoS)
がPLoS Biologyを発刊しました。彼の有名なPLoSは民間営利団体ではなく、公共団体だったんですね。
さらに米国ではNIHの予算の研究結果は、1年以内にOpen Accessでの公表を義務化する法律が制定されました。(2007年)
3つの特徴
1.購読料をとらず、自由にダウンロード
代わりに研究者が研究費等から投稿料を支払うビジネスモデル。研究費がなければ良い研究はできない「はず」との理念にもとづいています。ただ、「研究費はなくとも良い研究は出来る」といった異論のある方もみえるでしょう。ちなみに発展途上国からの投稿は無料もしくはディスカウントされる雑誌が多いです。
2.速報性を重視
例えばClinical Interventions in Aging はウェブサイト(https://www.dovepress.com/clinical-interventions-in-aging-journal)で「Replyまで15日、AcceptからPublishまで27日」と謳っています。新鮮な情報をなるべく早く届けるのは、いわばジャーナリズムの原点とも言えます。例えばパンデミックの際にいち早く研究結果を発表し、世界中で情報を共有する時に力を発揮するかも知れません。
3.採択率が高い?
例えばPLoS Oneは、査読は方法論の妥当性と事実確認のみ, 採択率70%と言われています。結論の重要性は評価せず、その分スピーディに論文を公表しその内容は読者が評価する、という考えにもとづいています。例外もあり、Cell Reportsのように重要性判断も行うオープンアクセス・ジャーナルもあります。
全体的に、購読版雑誌よりもオープンアクセス・ジャーナルのほうが採択率が高い傾向にありますが、全てのオープンアクセス・ジャーナルの採択率が高いとは限りません。
PLoSの成功を受けて、現在では大小様々な出版社からオープンアクセス・ジャーナルが出されています。印刷の費用がかからないため、参入障壁が低いのかもしれません。
老舗系
・PLoS
新興系
・Hindawi Publishing Corporation
・Scientific Research Publish
・OMICS group
2013-11-06