むち打ち症のガイドラインを探していたら、わかりやすいまとめを見つけました。下に引用します。
International Association for the Study of Pain, Fact Sheet ‘Whiplash ‘より抜粋。
診断法
・むち打ち症を診断する客観的評価方法は無い。
・ 患者の訴える症状から多角的にむち打ち症を診断する。
・ 単純X線検査やその他の画像診断は、多くの場合、運動器の異常を証明するのに有用でない。最近の臨床的診断指標では、骨折や脱臼が疑われる場合以外には画像診断を行うべきでないとしている。
・ ケベック州調査委員会(Quebec Task Force)によるむち打ち症の分類法が、最も一般的に用いられている。しかし、この分類法の 特異度は低い。特に、外傷性頚部症候群のグレードについては、最近明らかになった運動障害、感覚障害、心理的問題が包含されていないことは銘記されなければならない
治療法・
急性むち打ち症に対して最も有効性が期待される治療は以下の2つである。
・ 頚椎の運動を通常通り行って良いことを説明し、過度の安静をしないように教育し実践させること。
・ 関節可動域の拡大を目的とした運動や筋活動に着目した運動など規定の機能的な運動療法が有用である。
・ 頚部の固定具の装着は、むち打ち症からの回復を遅らせる可能性がある。
慢性むち打ち症に対する有効性が最も期待できる治療は以下の4つである。
・ 頚椎の運動を通常通り行って良いことを説明し、過度の安静をしないように教育し実践させること。
・ 関節可動域の拡大を目的とした運動や筋活動に着目した運動など規定の機能的な運動療法が有用である。
・ 心理療法をリハビリテーションと組み合わせて実践することが有用である。
・ 一部の症例に対しては、ラジオ波神経焼灼術が有効なことがある。
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